リコールと企業価値
■リコールとは
設計・製造上の過誤などにより製品に欠陥があることが判明した場合に、法令の規定または製造者・販売者の判断で、無償修理、交換、返金などの措置を行うことである。
■リコールの結果何が起こるか
・顧客への悪影響
・売上高の減少
・多額のリコール費用の発生
・ブランドの低下(将来の売上高減少)
・企業価値の低下
■リコールに対する組織的対応の種類(Siomkos & Kurzbard, 1994)
・Denial; 拒絶する
・Involuntary product recall; (外部から)強制的に製品リコールをさせられる
・Voluntary Product recall; 規制当局の指示前に自発的に製品をリコールする
・Super-effort; 企業の資源節約より消費者の厚生を優先し、より迅速に自発的リコールを実施する
■リコールがマーケットシェアに与える影響(Rhee & Haunschild, 2006)
米国自動車会社のリコールデータを分析
・評判の高い企業のリコール →2.92%のシェア低下
・評判の低い企業のリコール →1.64%のシェア低下
と、評判の低い企業のリコールの方が、シェアの低下度合いが低いことがわかった。
■自発的リコール(Proactive) vs 強制的リコール(Reactive)
自発的リコールか、強制的リコールかにより、そこから学習する組織能力は異なる。
・自発的にリコールしたときは、その後、リコールの低減に寄与するような組織学習を行う。
・強制的なリコールの場合は、表面的な学習を促すにとどまる
■企業価値の低下度合いに違い
・強制的リコールより、自発的リコールの方が、企業価値の低下度合いが大きい。その理由は、自発的リコールの方がより影響範囲の大きいリコールであると株主から見えるためである。と説明されている。一方で顧客からの評価は、自発的リコールの方が高い。