sasami's diary

日々考えついたことや、メモをしたいことを不定期に書きます。

関係特殊投資

 日本の企業と従業員は、非常に強い関係特殊投資の関係にある。企業内のルールがたくさんあり、企業内の人脈を通して業務が進んでいく。その企業の中で使われる言葉で意思疎通をはかり、企業文化を背景にして企業生活を営む。これらの企業内知識はその企業でしか活用できないものが多く、従業員が蓄えた知識を有効に活用できるのは、その企業の中のみであることが多い。つまり個人の知識はその企業から離れた場合価値を大きく失うということである。一方で企業は従業員個人に知識の蓄積を依存しており、知識が体系的に整理されていないため、容易に新たな社員に企業内知識を伝えることができず、従業員への依存度は高く、取り換えが容易ではない。このように企業と従業員は、お互いに持ちつ持たれつの関係になっており、それが従業員を一つの企業に縛り付けておく原因となっており、ここに外部労働市場が活性されない原因があると思われる。

 この関係は、企業と従業員がうまくいっている間はいいが、その企業文化に馴染めなくなった従業員が出てきた場合や、企業側の業績が悪化した場合などに問題が発生する。個人はその個人が持つ知識が他社で価値を失うために、嫌でもその企業にいつづけないといけなくなる。一方企業は、従業員を解雇したい場合でも、従業員を容易に解雇できず、不要なリソースを抱え込むことになる。

 現在のように変化が激しく、企業も個人もそのときどきでフレキシブルに自らのあり方を迫られる時代にあっては、関係特殊投資の関係を弱くし、企業は自らの知識を企業自身に構築する仕組みを構築すると共に、個人は自らが価値を創出できる力を身につけるべきではないかと感じる。